カラス君と黒猫さん




「マユさんの一人娘がここに来た時はびっくりしたなぁ。綺麗だったし、何て言っても似てるだろう?性格が。」

「そうですね。」

「負けちゃあいなかったけど、マユさんには敵わないだろうね。それが悔しくて琴羽嬢もこの仕事続けてるんだろうよ」


(他の仕事も大量にやってますが・・・・・)




「でもなぁ・・・・・・・・影を持ってるんだよ、マユさんと違って」

「影?」

「そうそう。そこが愛らしいと言う客も居るが、俺はどうもそこが気に入らなくてなぁ」


“影”って、雰囲気が暗いって事だろうか。



「父親がなぁ・・・・・・・、ちゃらんぽらんだったが筋は通った男だったんだよ。ある日ぽっくり逝っちまって」



高見さんが懐かしそうに目を細め、続ける。



「新友だったんだよ、琴羽嬢の父親と」

「そうなんですか」

「小さい頃は可愛いガキだったのになぁ。まぁ最近はちょっと幼さを取り戻しているが」



(幼さを取り戻す?大人は、子供に“早く大人になれ”とか言うのに)



「琴羽嬢が可愛らしくなってんのもカラスのお陰だろ?だからこんな昔話を溢してるのさ」

「えっ、いやいや・・・・・。黒猫さんとはただの友達です」



(黒猫さんは、“子供らしく”を望まれている?)


「あいつはちょっと大人びすぎているんだよな」



(大人び・・・・・すぎている。)



・・・・まったく、どう言う事なんだろうか。
日本語は難しい。



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