カラス君と黒猫さん





「・・・・俺から居なくなるの?」

「・・・・・・・・え?」


俺の声が小さかったのか、それとも別の理由があったのか、黒猫さんが聞き返す。




「俺から、居なくなるの?」


車内が揺れる。
それに合わせて、心臓もどくんと高鳴った。



「本当に、今の言葉は嘘だったの?」



自分でも、可笑しいと思う位声が掠れてる。




「さあね」


顔を上げると、そこにはいつもの黒猫さん。



(曖昧な、返事)



「どう捉えるかはカラス君次第だよ」



そう言って、またいつものように笑う。






ぎりぎり、クリスマスの時に見た黒猫さんの顔。

あれが“本当の黒猫さんの顔”だなんて思ってしまった。




きっと違うと願いたい。

いつもの黒猫さんの顔が、“仮面”だなんて思いたくない。




仮面。





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