カラス君と黒猫さん
黒猫さんの、顔。
黒猫さんの、言葉。
黒猫さんの、表情。
もし、昨日見た“黒猫さん”が“本当の黒猫さん”だったら。
俺が見ていた“黒猫さん”が“仮面”だったら。
俺が好きになった“黒猫さん”は“本当じゃない黒猫さん”だったら。
頭の中、黒猫さんで一杯だ。
おかしくなりそう。
父さんは悩むのが青春とか言ってたけど、これは悩みすぎかもしれない。
もう一度寝よう、と思ったとき。
携帯が鳴った。
着信は、知らない番号から。
「・・・・・・・・はい」
『もしもしカラス?俺俺』
ピッ。
“俺俺”から始まる電話には出ない主義だ。
すぐに消した。
そして、再び携帯が鳴る。
放っておいても永遠に鳴り続けたから、仕方が無くそれに出た。