カラス君と黒猫さん
『昨日はいつもと変わらなかったし・・・・・・。何か、』
ブチ。
早く連絡がしたくて、雅との電話を切った。
(まさか、まさか。寝坊してるだけだと願いたい)
白い紙に書かれた番号にかけてみる。
プルルルルルル。
プルルルルルル。
無機質なコール音が耳に残る。
妖しい心臓の音だけが、俺の焦燥を掻き立てた。
(・・・・・・・・、出 ない)
何十回目かのコール。
コールが鳴り止まる気配は無い。
諦めて、電話を切ると同時に、全身から冷や汗が吹き出た。
『私が居なくなったらどうする?』
どくり。
全身が鉛みたいに重い。