カラス君と黒猫さん
「黒猫、さん・・・・・?」
静かな部屋に呟いてみる。
「・・・・・・・黒猫さん、居るの?」
けど、後ろの道路の車の音しか聞こえない。
人の気配も全くしない。
(やっぱり居ない・・・・・・!でもどうして鍵が開いて・・・・?)
飛び出した、とか・・・・・・?
いや、まさか。
マイペースな黒猫さんに限ってそんな急ぐなんてことする訳ない。
バタン。
俺は扉を勢いよく閉め、階段を駆け下りた。
(あぁ、どうしよう。頭の中が真っ白だ)
雅に“黒猫が仕事に来ない”って言われただけなのに、どうしてこんなに焦っているんだろう。
“私が居なくなったらどうする?”って聞かれただけなのに、この胸騒ぎはなんだろう。
黒猫さんが心配で仕方が無い。