カラス君と黒猫さん


「黒猫、さん・・・・・?」



静かな部屋に呟いてみる。


「・・・・・・・黒猫さん、居るの?」



けど、後ろの道路の車の音しか聞こえない。

人の気配も全くしない。




(やっぱり居ない・・・・・・!でもどうして鍵が開いて・・・・?)




飛び出した、とか・・・・・・?

いや、まさか。



マイペースな黒猫さんに限ってそんな急ぐなんてことする訳ない。


バタン。
俺は扉を勢いよく閉め、階段を駆け下りた。



(あぁ、どうしよう。頭の中が真っ白だ)






雅に“黒猫が仕事に来ない”って言われただけなのに、どうしてこんなに焦っているんだろう。


“私が居なくなったらどうする?”って聞かれただけなのに、この胸騒ぎはなんだろう。





黒猫さんが心配で仕方が無い。






< 168 / 223 >

この作品をシェア

pagetop