カラス君と黒猫さん
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「っはあ・・・・・・・・・・」
汗が、背中を伝ったのが分かる。
埃臭い部屋の匂いが、鼻をついた。
微弱な日光が俺を照らす。
真っ黒な瞳は大きく開かれていて、俺を驚愕したように見上げていた。
取り合えず俺は、扉を閉める。
あぁ、やっぱり。
黒猫さんは音楽倉庫に居た。
膝を抱えるようにして蹲って、まだ俺を見上げてる。
(良かった、見つかって・・・・・)
良かった、はずなんだ。
良かった筈なのに、何でこんなに喪失感があるんだろう。
俺は息を整えながら、黒猫さんの顔をしっかり見た。