カラス君と黒猫さん





「・・・・・・・・・・・・・・ねぇ、何でそんな哀しそうな顔するの・・・・・・・・」


いつもと変わらない顔を“作っている”黒猫さん。



あぁ、そうだ。


黒猫さんが見つかって嬉しいはずなのに、心から喜べないのは、黒猫さんが浮かない顔してるからだ。



「黒猫さん・・・・・・・・・・・・・・・・」



黒猫さんも、俺と同じく私服だ。
やっぱり家から飛び出てきたんだ。



「・・・・・・・カ、ラス君・・・・・・・・」



嗄れた声。

大きな声を出して、声が出なくなった・・・・・・そんな声。




「そんな顔、どうしてするの・・・・・・・・」




微弱な日光でよく分かる。
黒猫さんの頬には何かが伝った痕があった。




「泣いてたの・・・・・・・・・?」


いつもは笑って誤魔化すくせに。



今日は苦虫を噛み潰したような顔で笑うんだ。






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