カラス君と黒猫さん
「だって、もう兄貴は平気だよ」
「え、何で」
「カラス君居るじゃん」
口端を上げて、満足そうに笑う黒猫さん。
「・・・・・俺そんなに強い、とか・・・無いよ?」
「黙ってむすっとしてれば威力あるから。」
「そんな怖い顔してた?」
「してるよー」
けらけらとして笑う黒猫さんはいつもの“顔”だ。
「けどなー」
「ん?」
「カラス君があんな男前な告白するとは思わなかった」
するり、腕に黒猫さんの細い腕が絡みついた。
「・・・・・・・・・・ね、もっかい言ってよ」
「・・・・もう言わない。恥ずかしい」
「照れないでよー。シャイなんだから」
悪戯っぽく笑う黒猫さん。
空はもう暗くなり始めていた。
冬風が体に凍みる。
「じゃあ、ちゅーはしてくれる?」
「今度は黒猫さんからね」
「うわ、今日は意地悪だなカラスくん」
「黒猫さんには負けちゃうよ」
「どう言う意味」
眉を寄せて少し不機嫌そうになる黒猫さんを見ていると、何だか笑えて来た。いい意味で。