カラス君と黒猫さん
ぐい、と胸元を引っ張られる。
目線が黒猫さんと一緒になった所で、冷たい唇が重なった。
唇が離れて、少し視線が合い、黒猫さんは呟く。
「・・・・・・・・・一緒に家、来てくれる?」
「・・・・・・・・・・・勿論いいよ」
ぱ、と手を離された。
「・・・・・・・カラス君と背が合わないから面倒臭い」
「黒猫さんの背が伸びれば良いんだよ」
「無理。」
上着のポケットに黒猫さんの冷え切った手が乱入してきた。
「カイロ・・・・は無いかぁ。残念」
「つめたっ!俺の体温奪って行かないでー!」
「手、繋いでー」
「うわ冷た!折角保温してたのに」
ポケット内で黒猫さんと手を繋ぐ。
今まで温めておいた温もりが全て奪われてしまった・・・・・。
「あっははー幸せー」
「・・・うん・・・そうだね・・・・・冷たいね・・・」
澄んだ薄暗い空に、星が散っていた。
都会だからよく見えないけど、今日はいつもより雲が少なくて星が見える。
それを見上げながら、俺と黒猫さんは歩いた。