カラス君と黒猫さん
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午後7時過ぎ。
俺は黒猫さんとマンションに来ていた。
「うわ!鍵閉めるの忘れてた・・・・!無用心だったかなぁ」
黒猫さんは気楽に考えていて、お兄さんの事がどうだとかはあまり気にしていないようだ。
「黒猫さんのマンションって何かひっそりしてるよね」
「そう?このマンション夜勤の人とかが多いんだよね。だから静かなんじゃない」
階段を上りながら黒猫さんはいつもと変わらない口調でそう言った。
「よかったー誰も居ないや」
黒猫さんは部屋に入ると、安心したように胸を撫で下ろす。
(・・・・・・・誰も居ない・・・。お兄さんの事なのかな、空き巣の事なのかな)
「ね、カラス君。片付け手伝ってくれるよね?」
にやり、と黒猫さんが妖しく笑った。
「・・・・・・・・ええ・・・・・・・」
「ひとり怖いなぁ・・・」
「・・・・・・・・・顔が全然怖いって顔じゃないよ」
黒猫さんに引かれるがまま、部屋の中に入った。