カラス君と黒猫さん
(本当酷い・・・・・・・・・、空き巣よりたちが悪いんじゃないのかな)
部屋を見渡す。
油断すれば、落ちているガラスの破片を踏みそうになるし、衣類や本が散乱している。
「うっわー面倒臭い」
(・・・・・・黒猫さんらしい部屋だなぁ)
家具が机と棚しかない。
いかにもシンプルな部屋だ。
「このガラス片付けるね」
「うん?あぁ、ありがとう」
透明の破片を拾う。
転がっていたビニール袋に入れて、口を縛った。
「ごめんね、手伝わせて」
「いいよ全然。家に帰ってもどうせ暇だったし」
「うん、一緒」
黒猫さんは落ちているタオルを拾い上げながら笑った。
(もしかして、帰っても寂しいからバイトとかしてるのかな・・・・・)
なんて思ったり。
そんな乙女じゃないか。
そう思いながらコップを拾っていたら。
ガタン。
玄関の方から物音がした。