カラス君と黒猫さん




扉が開いた音がする。


黒猫さんを見遣ると、平常を保っているようだけど顔が強張っていた。




「・・・・・・・・・見に行くよ、」


そこから立ち上がると、黒猫さんはぎこちなく頷いたく。



一歩踏み出した時。




「琴羽ああああああ!!居る?!」



盛大な物音と共に現れたのは。

真っ黒な長髪を上の方に纏めている、少々化粧が濃い、黒猫さんの。




「・・・・・・・・・・・母、さん?」

「良かったー、居た。あれ?カラス君居たの?」


紙袋を2、3個肩にぶら下げて、肩で息をしながら近付いてきた。



「あ、お邪魔してます」

「いいのいいの、どうせ暇してる子だから」

「・・・・・・・失礼な」



マユさんは力無く黒猫さんの方に近寄ると、いきなりその肩を鷲掴みにし、胸中に収めた。


「うわ。何、どうしたの」

「どうしたのじゃないわよ・・・・・。家に、当麻が居ないから・・・・・・」

「あぁ、そうなの」



黒猫さんを抱き抱えながら、マユさんは座り込んだ。




< 182 / 223 >

この作品をシェア

pagetop