カラス君と黒猫さん
扉が開いた音がする。
黒猫さんを見遣ると、平常を保っているようだけど顔が強張っていた。
「・・・・・・・・・見に行くよ、」
そこから立ち上がると、黒猫さんはぎこちなく頷いたく。
一歩踏み出した時。
「琴羽ああああああ!!居る?!」
盛大な物音と共に現れたのは。
真っ黒な長髪を上の方に纏めている、少々化粧が濃い、黒猫さんの。
「・・・・・・・・・・・母、さん?」
「良かったー、居た。あれ?カラス君居たの?」
紙袋を2、3個肩にぶら下げて、肩で息をしながら近付いてきた。
「あ、お邪魔してます」
「いいのいいの、どうせ暇してる子だから」
「・・・・・・・失礼な」
マユさんは力無く黒猫さんの方に近寄ると、いきなりその肩を鷲掴みにし、胸中に収めた。
「うわ。何、どうしたの」
「どうしたのじゃないわよ・・・・・。家に、当麻が居ないから・・・・・・」
「あぁ、そうなの」
黒猫さんを抱き抱えながら、マユさんは座り込んだ。