カラス君と黒猫さん
「一人ひとり違う人なのに、世界には何億って言う人間が居るんだよ?何か面白い」
するりと腕に絡んできた、黒猫さんの腕。
甘えたり、離れたり。本当気まぐれな人だ。
「それぞれ違う過去を持ってて、違う未来を持ってて、違う人生歩いてる。そう思うと自分って本当小さい存在だと思わない?」
信号機が青になる。
また、人の波が動き始めた。
「黒猫さんは哲学者みたいな事言うね」
「そんな難しい事言った覚えはないよ」
「存在が難しい人だから。」
「・・・・・どういう意味」
自分が小さい存在。
確かに、地球や海に比べたら、俺達の一生はカメラのフラッシュ以下位の速さだ。
でも、そのフラッシュ以下の速さで人は沢山悩んでるんだ。
「カラス君、最近良い顔するね」
「え?」
「わらってるよ、普通に。」
「いつも笑ってるつもりだけどなぁ」
「んー、違う。」
黒猫さんはくすりと笑った。