カラス君と黒猫さん
「作り笑い、なんかじゃないもん」
「作り笑い・・・・・・・・・・・。」
(してた覚えは無いんだけどな。)
けど、黒猫さんには俺がそう見えたんだろう。
「黒猫さんは、何で笑っていられるの?」
黒猫さんだって辛い事もあると思うのに。
黒猫さんは、一瞬きょとんとした顔になり、また笑った。
「知らない。」
「何それ。」
「だって考えて笑ったこと無いもん。思ったままに勝手に顔が笑ってるだけ」
ショッピングモールの建物が近くに見えると黒猫さんのテンションは上がり、嬉々とした顔になった。
(高見さんや雅は黒猫さんの事、子供らしくないって言ってるけどそうには見えないな)
「カラス君!あれ食べたい」
「アイス?今冬だよ」
「冬に食べるアイスってーもんが“通”でしょ」
「・・・痩せ我慢じゃないの、それ」
黒猫さんは人が並ぶアイスクリーム屋を指差して、子供みたいにはしゃふ。
そこで俺のポケットに眠っていた携帯が鳴った。