カラス君と黒猫さん
携帯を探し出してジーンズのポケットに突っ込んで、最近めっきり使用しなくなった財布を手に、家から出た。
駅に近い家で良かったと思う。
歩いて10分位で着く駅まで行って、そこで早速迷った。
(どの切符を買うか・・・・・と言うより、どこに行くか決まってなかった)
と考えながらすぐ隣の市行きの切符を押して、買う。
(俺って適当だ)
改札口を前に、ちょっと苦笑して。
「っ、」
そこで。
またあの衝撃が走った。
(黒猫、さん・・・・・・・・・・?)
改札口を通った所で少しホーム側を見ると、小柄なあのシルエット。
じっ、とまっすぐ線路を見て。
頬の絆創膏があるんだ。間違いない。