カラス君と黒猫さん
再び眠りにつこうとする黒猫さん。
(・・・・・・・・・・何かあったかな)
根拠も無い不安が押し上げてきた。
「昨日ね、兄さんと鍋食べてた」
「え・・・・・・・・・・・・・・」
細い腕はまだ俺の体に巻き付いたままで、顔は全く見えない状態で呟いた。
見えないけど、多分悪い表情はしてないと思う。
「・・・・・・・・・普段はそこそこ仲が良いからご飯位は食べるけど、夜は一緒なの嫌だからカラス君の所に来ちゃった」
「・・・・あぁ、そうだったの・・・・・」
「カラス君がものすっごい心配そうな顔してたから」
顔を上げた黒猫さん。
その顔はこの間みたいな哀しい顔じゃなくて、悪戯する子供みたいな顔だった。
「うん、心配だった」
「ありがとう」
黒猫さんが笑う。
やっぱり俺はこの顔が好きだ。
冷たい手が俺の頬を掴んで、ちゅ、と黒猫さんの唇が触れた。
「ご飯作って」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・いつもの黒猫さんだ。