カラス君と黒猫さん
「やっと着いたー!!」
「・・・・・・・・・疲れた・・・・・・・・」
校門を跨いで、校舎を上っていき、着いたのはお馴染みの音楽室倉庫。
大量のお菓子や飲み物やらが入った袋をぶら下げて、埃臭いその床に座った。
「水、貰うね」
「私お茶」
ペットボトルを取り出して、水を飲む。
やっと息が正常化してきた。
休憩しながら、妙な静寂に包まれる。
「黒猫さん、さっきのさ・・・・・・。」
「本当だよ、あの家から引っ越すの」
いつもと変わらない表情で、さらりとそう言う黒猫さん。
「あぁ、大丈夫。学校も変わらないし、家もそんなに遠い所に引っ越すわけじゃないよ。ただ、兄さんから行方を眩ますだけ」
「あぁ、そう・・・・・・・」
良かった、と胸を撫で下ろした。
横でお茶を飲んでいる黒猫さんはそれを見て笑う。
「カラス君、本気で引っ越すこと心配してたの?」
「当たり前だよ、黒猫さん何も言わないから」
「ごめんごめん」