カラス君と黒猫さん
「でも本当、当麻君には悪いことしたなあ・・・・・」
黒猫さんが凭れて来る。
「悪いことかな・・・・・・」
「当麻君に居場所を作って上げれるのは私だけだったから・・・・」
「でも、もっと違う形でお兄さんの居場所を作って上げられたら良かったと思うよ」
「うん、私もそう思う」
はぁ、と溜め息が聞こえる。
「結局私は同情しかしてなかったんだ・・・・」
「俺はそう思わないよ。」
黒猫さんが俺を見上げる。
「だって、母親が違うお兄さんと一緒に暮らすとなったら普通、戸惑うでしょ。
だけど黒猫さんは、お兄さんを“家族”だって認めて、“居場所”を作ってあげようとしたじゃん。俺は多分、できない・・・・・」
「んー・・・・・・・・・・・・そう解釈すればいいけど、何か自分勝手なんだよなあ」
「自分に厳しいよね、黒猫さんって」
そこで、携帯に着信が入った。
画面はやっぱり雅。
「はい」
『黒猫居た?』
「・・・・・・・うん、居たよ。ちょっと代わるね」
黒猫さんに携帯を渡すと、案外素直に受け取った。
「・・・・・・うん。私、引っ越す。」
お茶を飲みながら、黒猫さんは平然と言う。
「うん、うん。・・・・うるさいなあ、ちゃんと母さんにも言ったよ。わっ!」
無防備な黒猫さんを持ち上げて、自分の膝に乗せた。
あぁ、久し振りに黒猫さんの驚いた顔見た。