カラス君と黒猫さん
「黒猫さぁ~、お前何で商売道具のお顔をそんなにするの?」
「さぁ?何か知らない女がムカついたから」
「そう言うところ直せって」
「とか言うあんたも顔にでっかい傷あるじゃん」
ここはあの店の中。
完璧に俺を黒猫さんの身代わりにしようとしている。
あれ、これマズくない?色んな意味で。
「で、どう?」
「そうだなぁ・・・今アレ、マユちゃんが男と遊びに休暇とっててウチも火の車なんだよ。男だけどいんじゃね?」
「やった」
「ねぇねぇねぇ。え?何、俺の意見って無いわけ?」
「だってつまんなさそうな顔してるじゃん、あんた。楽しい事しようよ」
「オイ黒猫、お前恐喝とか行けるんじゃね?」
「うるさい」
仲良さげに、二人はまた会話を始める。
「ま、今日一日キャバ嬢として頑張ってよ。名前なに?」
黒猫さんって、凄い。
昨日顔を一瞬見ただけの相手に(しかも男)キャバ嬢代わって、と言えるなんて。
「・・・・・篠加羅須王」
「かぁーーらすっ!!」
今度は男の方が騒ぎ始めた。
お、あだ名がもう見つかった。
「黒猫みたいな名前!名字と名前くっつけるとー・・・」
「私、黒音琴羽(くろねことは)。よろしくね」
男を遮るように、黒猫さんは怪しく笑った。