カラス君と黒猫さん
そして、黒猫さんも溜め息を吐いた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「カラス君、笑ってよ。男に見えちゃう」
「そうだ。そうだ。すっげ綺麗だぜぇ?鏡見る?」
(俺はなにしてんだろう)
最高ににやついている黒猫さんと、男。
「雅、コレいけるよ。ナンバーワンも夢じゃない」
「やめてよ。そう言う趣味は無い」
俺は、無理矢理着させられた女物の洋装に触ってみる。
真っ黒のシルクドレスで、女が着ると足首まであるそうだけど、俺が着ると何か微妙な長さ。でも二人にはそれが良いらしい。
体の方は肩に真っ白なフェイクファーがかけられていて、暑い。
「華奢だから何着ても似合うなー。ここで働く?」
「・・・・・・・・・・・・いい」
店に置いてあった鬘を適当に被せられ、人口毛が俺の頭から垂れている。
それを黒猫さんが器用に纏めて。
「黒猫さんって、水商売してたんだ。学校はバイト禁止なのに」
少し八つ当たり気味に言うと、代わりに雅、が口を開いた。
「んー。黒猫はちょっと違うよなー」
「まぁね。」