カラス君と黒猫さん
「んじゃあカラスー12時からステージよろしくなー」
「雅、ビリヤードで何か騒ぎが起きてるよ。顔出したら」
「あぁ、うん」
色黒で、金髪坊主のがらが悪い男は、黒猫さんと俺に人懐こい笑みを振りまき、小さい物置部屋から出て行った。
「あのひとね、ああ見えてヤクザのリーダーだったんだよ」
黒猫さんが、会議で使うような机に腰掛ける。
「ああ見えてって・・・・・・・何か、違和感ないよ」
「でも何でそんなあいつが商売してると思う?」
「・・・・・・・・さあ」
胸上、位の黒髪をいじりながら、黒猫さんは笑う。
「かっけー理由があるんだよ、雅が働く理由。」
「何?」
「それはね、秘密。今のカラス君に教えてもつまんない」
彼女は、心底楽しそうに笑った。
眩しいくらい、本当、何が可笑しいのか分からないけど、笑う。
「俺って、そんなにつまらない?」
高級そうなシルクドレスを撫でた。
指腹が滑って、心地良い感覚が残る。
「学校で、初めてあんたに会ったとき。ぶつかったんだっけ?」
「うん」