カラス君と黒猫さん





「んじゃあカラスー12時からステージよろしくなー」

「雅、ビリヤードで何か騒ぎが起きてるよ。顔出したら」

「あぁ、うん」



色黒で、金髪坊主のがらが悪い男は、黒猫さんと俺に人懐こい笑みを振りまき、小さい物置部屋から出て行った。




「あのひとね、ああ見えてヤクザのリーダーだったんだよ」


黒猫さんが、会議で使うような机に腰掛ける。



「ああ見えてって・・・・・・・何か、違和感ないよ」

「でも何でそんなあいつが商売してると思う?」

「・・・・・・・・さあ」



胸上、位の黒髪をいじりながら、黒猫さんは笑う。



「かっけー理由があるんだよ、雅が働く理由。」

「何?」

「それはね、秘密。今のカラス君に教えてもつまんない」




彼女は、心底楽しそうに笑った。

眩しいくらい、本当、何が可笑しいのか分からないけど、笑う。



「俺って、そんなにつまらない?」



高級そうなシルクドレスを撫でた。
指腹が滑って、心地良い感覚が残る。




「学校で、初めてあんたに会ったとき。ぶつかったんだっけ?」

「うん」




< 29 / 223 >

この作品をシェア

pagetop