カラス君と黒猫さん
俺、篠加羅 須王。高二。
しのからすおう、って変わった名前。
名字と名前を繋げると“カラス”になるから、皆からはカラスと呼ばれてる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・、」
購買に群がる人の波を見下ろす。他の生徒より背が高いモンだから、一瞬で見下ろせる。
こう言う時、上背って便利だと思う。
「・・・・・かぁらす、」
眉を下げしょぼくれた顔になった友人が俺に縋った。
ちらりと購買を見て、俺は言う。
「ねぇ、パン奢ってくれたらカラオケ行ってもいいよ」
「本当か?!」
「たけど、あの人混みを掻き分け、売り切れる前で頑張る事だね」
「よっしゃぁああ!!」
そう言うなり、予想通り、と言う顔をした頼もしい友人は、財布片手に俺から離れていった。
そして、体に刺さる痛い視線。
ちらちらと俺を見ているのが分かって、俺はそこを離れる事にした。
購買は、苦手だ。
人が沢山居て、より注目を浴びる。
(あーあ。時間があればコンビニで買ってきたのに)
取り合えず、渡り廊下の脇に座って友人を待つことにした。