カラス君と黒猫さん
「からす、って名前が似合う。
背が高くて、ちょっと上から私達を見下ろしてんだ。別に、上から目線って訳じゃない。物事を、私達とはちょっと違う・・・・・、少し上を見据えてんの」
ぶらりと垂れた足を自由に動かしながら、真っ直ぐ俺を見て黒猫さんは言った。
「可笑しいでしょ。そんなにカラス君と話してないのにね」
その白い手が伸びて、俺の人口毛を絡め取る。
「・・・・・・・皆を、見下ろしてたつもりは無かったけど」
「うん。私の、今のカラス君の印象を話しただけ。ごめん、全然正反対な性格だったら」
けどみんなよりは、背がたかいことはたしかなんだよ。
(“背が高い”、はきっとそう言う意味じゃないヤツだ)
難しいことを言うんだな、黒猫さんは。
あと、深い。
「今から私がお客役するから、キャバ嬢になりきってね。ハイ。」
「はっ?!今?」
「だってもうすぐステージに上がる12時じゃん。そんな“男”のまま接客しても、店の評判が下がる」
口角を上げて、にやりと笑みを浮かべる。