カラス君と黒猫さん
想像と違って、ここ〝LAURA〟の場合は、男女が対等して話すという訳じゃなく、ひとつのテーブルに、多数の女の子が並んで話す、ような形だった。
と言っても俺は中々その輪の中に踏み込めず、ただずっと無難に座っていただけだけど。
「凄い評判だったよ。美人で、スタイルが良い新入りが入った、って」
「どうなの、それって」
「働いたらいいんじゃない?あぁ、でも声でアウトか。ま、それもそれで新鮮なんじゃない?」
「嫌だ」
いきなり女になるってのは、予想以上に疲れることだと知った。
それ以前に、今日は代理と言う事で店に入ったわけで。
「面白くて、今日の分のバイト全部キャンセルしちゃった」
「いいの?」
「いいじゃん。それに、この顔じゃあ裏方しかできないし」
絆創膏が張られた頬をつついてみせる黒猫さん。
明日には化粧で隠す、って言ってたけど。
「何で怪我したの?」
逆に、黒猫さんに聞いてみることにした。
「・・・・・・まぁ、私が鈍臭かっただけな話なんだけど。」
黒猫さんは口を開きはじめた。