カラス君と黒猫さん
数分後、ぼーっとしている内に制服と息を乱した友人が走ってきた。
「んだよぉ!そこに居たのかよ、カラス」
パンを片手に持っているのを確認し、手を伸ばす。
「頂戴」
「あい。ぜってー来いよ、テメ」
「多分ね」
友人や、他の奴らの考えている事が分からない。
アイツらの公式は、
“合コンでモテたい>パン代”
俺にしちゃあ、モテるモテないより、今生命を繋ぐ為に食うパンの方が大事だと思うけど。
「じゃあ今日お前にメール送るな!ぜってー来いよ!!ぜってー・・・・」
「五月蝿い」
(何で俺のメアドを知っているんだ)
笑顔で去って行く友人に手を振り、口角を無理矢理上げた作り笑いで見送る。
そして、俺も立ち上がった。
ある目的地、に向かう為。
そこに足を運ぶのは、いつもと違って何故か楽しい。
何も楽しいことなんて無いのに。
途中声を掛けてきた女の先輩を無視して、人を撒く様に足の速さを進めた。