カラス君と黒猫さん
「黒、猫さん」
「?」
古臭い楽器に凭れて、足を伸ばし紙パックジュースのストローを咥えている、
真っ黒な髪で、真っ黒なセーターを着ているその人は、紛れも無く黒猫さんの姿。
「なんでここに・・・・・・・・・・」
俺だけの倉庫、だと思ってたのに。
「うん?何か、見つけた。ここって良い昼飯場所だね」
そして、ビニール袋からおにぎりを取り出し、咥える。
もぐもぐしながら、黒猫さんは普通に言った。
「何?カラス君も食べればいいじゃん」
俺が手に持つビニール袋を見て、黒猫さんは自分の隣をばしばしと叩いてみせる。
あぁ、埃が舞ってる。
そんなことはどうでも良くて。
「いや・・・・・・・ちょ、」
「一人、虚しいじゃん。食べよう」
屈託のない笑顔を見せられて。