カラス君と黒猫さん
不意に黒猫さんがおにぎり片手に立ち上がり、俺の方に来て、開いてる手で俺の手を掴んだ。
相変わらず、冷たい手。
「ん。」
先程黒猫さんが座っていた所の丁度隣の位置を指差され、“座れよ”を目で確認した。
「・・・・・・・・・いい、の?」
いいも何も元は俺が愛用していた所だけど。
だけど、そんな事も言えない位、俺が黒猫さんより下目線で言ってるのはやっぱり黒猫さんだからだろうか。
「ん。」
ごくり、とおにぎりを飲み込む黒猫さん。
俺は、複雑な心境のまま黒猫さんの隣に座った。
「何入ってんの」
「・・・・・・ジュースと、パン。」
「ねぇねぇ、このチョコ貰ってイイ?」
がさがさと俺の袋を楽しげに漁る黒猫さんが、不意に顔を上げた。
コンビニで売ってる、一口サイズのチョコを持って。
「え?あぁ、いいよ。二つあるし」
「甘党なの?カラス君」
「うん。どちらかといえば」