カラス君と黒猫さん
「ふぅん。意外だ」
ありがとう、とチョコを手にして笑う黒猫さん。
うん。二つ買っておいてよかった。
「私も甘党派だな、どちらかと言うと」
「辛いのは嫌いじゃないけど苦手だな。タバスコはかけたりするけど」
「うん。私もそうだな。ピザによくタバスコるよ」
「タバスコる?」
新しい日本語発見だ。
思わず笑った。
「合うんだよね、ピザ屋でよくやるんだ」
もぐ、とまた新しいおにぎりを頬張る黒猫さん。
俺も、パンの袋を開けた。
「そのおにぎりの具は?」
「これね、紀州梅。で、さっきのがたらこ」
「赤系じゃん」
「あ、本当だ。好きなの選んでたら勝手にそうなってた」
ぱく、と食べた黒猫さんは梅をそのまま頬張ったのか、酸っぱそうに顔を顰めた。
「うっ、こっちも酸っぱくなってくる」
そう言うと、わざと更に酸っぱそうに顔を萎める黒猫さん。