カラス君と黒猫さん






「ふぅん。意外だ」


ありがとう、とチョコを手にして笑う黒猫さん。


うん。二つ買っておいてよかった。





「私も甘党派だな、どちらかと言うと」

「辛いのは嫌いじゃないけど苦手だな。タバスコはかけたりするけど」

「うん。私もそうだな。ピザによくタバスコるよ」

「タバスコる?」



新しい日本語発見だ。
思わず笑った。



「合うんだよね、ピザ屋でよくやるんだ」


もぐ、とまた新しいおにぎりを頬張る黒猫さん。


俺も、パンの袋を開けた。




「そのおにぎりの具は?」

「これね、紀州梅。で、さっきのがたらこ」

「赤系じゃん」

「あ、本当だ。好きなの選んでたら勝手にそうなってた」




ぱく、と食べた黒猫さんは梅をそのまま頬張ったのか、酸っぱそうに顔を顰めた。



「うっ、こっちも酸っぱくなってくる」


そう言うと、わざと更に酸っぱそうに顔を萎める黒猫さん。








< 47 / 223 >

この作品をシェア

pagetop