カラス君と黒猫さん
「でも、カラス君はこの場所元々知ってそうだったけど?」
ジュースを飲んだ黒猫さんが口端を上げて、そう言った。
「・・・まぁ、うん。昼飯食う時は大体ここで。」
「何それ。陰キャラだったのか・・・・・・・」
「うわ、俺スゴイ根暗発言だね」
黒猫さんが豪快に笑う。
そして、乱れた髪を整えながら、俺に向き合った。
「ははっ・・・・・・・カラス君はどうやっても根暗には見えないと思うよ?雰囲気が。
まあそう言う私もいつも屋上勝手に開けて食べてたけど」
屋上は最近寒くてかなわないやー、と俺のチョコを食べながらそう言った。
「屋上かぁ。寒い以前に、夏って暑くない?」
「夏?それが意外に風通りが良くて、日陰に入れば涼しいんだよ」
「へぇ、それ初耳。俺も夏になったら屋上行こうかな」
「私が居るかもね」
「常連かー」
あぁ、そうだ。
会話が息詰まって沈黙が流れると思っていたけど、何て言ったって黒猫さんは水商売のバイトが出来る人だった。
そう簡単に会話に困る事は無いか。
自分でも沈黙の不安が吹っ切れたのが分かって、黒猫さんと面向かって喋りやすくなった。