カラス君と黒猫さん





人が少ない、生徒教室以外の教室が集まった、新館。

渡り廊下を渡って、扉を開ければ直ぐに行ける。




俺は、いつも通りにそこに向かった。




ガララ・・・・・・


立て付けの悪い、少し外れた木製の扉を開け、埃臭い室内に入る。



“第一音楽室倉庫”



それが、俺の好きな場所であった。




未だ部活で使う楽器は置いてあるけど、それは全て壊れていて、使えない楽器ばかりが置いてある、忘れられて使われていない倉庫。


狭くて埃だらけだけど、誰も居なくて静かなこの空間が好きだ。




自分ながら、引き篭もりの素質はあると思う。




先程友人に貰ったパンの包装紙を破り、噛み付いた。

あ、焼きそばパン。
人気高い奴を死守したか、と思いながら頬張る。





この場所は俺が一年生の時に発見した場所で、以来、それからほぼ毎日この壊れた音楽倉庫を利用している。




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