カラス君と黒猫さん





「それでな、カラス。」

「何」

「お前、気を付けろよ。」

「俺を何だと思ってんの」

「いやぁ~だってお前、アレだろ?変態に好かれそうじゃん。イケメってっし?もしかしたら着替えを覗か・・・・・・・・・」


取り合えず、いきなりにやけついた友人の頭を教科書で叩き、ふと考える。



「肥田センセイ、ね・・・・・・・・・・」



自分の担任の名字すらあやふやなのに。
まぁとにかく、“1組の肥田”は覚えた。




「ホントッ、カラス非力そうだから俺もう心配で心配でっ・・・・・・・・!」

「あぁ?」

「アレ?キャラ変わったの、カラス君」


明らかにその友人の方が小柄なのに。
あ、そうか。彼は運動部。



「カラスもサッカー部来いよっ!マッチョになれるぜっ」

「いや・・・・・・いい。」



授業開始のチャイムが鳴ると同時に、担当の先生が入ってきて、今の話の殆どが頭の中から薄れていった。





まさか、その後思いもしないことになるとは知らずに。








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