カラス君と黒猫さん
机に置いてある、氷が溶けてしまった薄くて不味いウローン茶を飲んだ。
次はジュースでも取りに行こうかな。
「俺、飲み物とって来る」
「いってらー」
担任が熱唱しているのを横目で見つつ、部屋を出る。
部屋を出た瞬間、全体の音量が下がって、自分の体温も冷めた気がした。
(どこだっけ、飲み物の場所。あぁ、フロントか)
コップ片手に、薄暗い店内の廊下を歩いていて。
フロントらしき所にジュースを取りに行った、までは良かった。
「いらっしゃいませ、カラス君」
「っ???!!」
コップに注ぎ終わったとき、高い声が後ろから聞こえた。
いつもは下ろしているセミロングの黒髪を後ろで一つにまとめ、従業員の黒いシャツに、カフェエプロン。
大きくて黒い瞳で、こっちを見上げているその人は、もう。
「黒猫さん・・・・・・・・・・」