カラス君と黒猫さん
そこには、スーツを着ている男が小さい黒猫さんを組み敷いているようにしか見えなくて。
・・・酷い酒臭。
誰かが使用した部屋の、片付けをしていないまんまの状態。
コップは全部落ちていて、ジュースやらアルコールやらの液体が床に広がっている。
床に倒されている黒猫さんはそのせいか、びっしょりと濡れていた。
「今、何時だと・・・・!早く帰れ、篠加、・・!」
「なに、してたの」
その男に近寄って、赤色のネクタイを掴み上げ、黒猫さんから離れさせる。
その男の顔が歪むのが分かった。
「黒猫さん、このひと誰?」
「・・・・・・・・・・担任、のセンセ い」
黒猫さんはよっぽど激昂に駆られていたのか、おぼつかない喋り方で、髪が頬に張り付いたまま放心状態だった。
「担任?」
今は俺を見て怯えている表情のそいつを見下ろす。