カラス君と黒猫さん
そこで数十分後。
「黒猫さん、食べて」
「やたっ。カラスの手料理ーっ」
「格別美味しいって訳じゃないよ」
「いただきます」
ベッドに腰掛けて、今さっき出来た卵粥を食べる黒猫さんを見る。
「からすくん、美味しいよ」
「ありがとう。吐かないでね」
「勿体無いから吐かないよー」
ぴぴぴ。
電子音がして、卵粥と一緒に渡しておいた体温計が鳴った。
「何度?」
「さんじゅうはちてんぜろ」
「38度?!何でそんなに多弁なの?!」
「もともとだよ」
「いや、絶対違う」
もぐもぐとお粥を頬張る黒猫さんは、明らかに病人の目で。
「無理しないでね」
「無理してないよ」
「それならいいけど・・・・・・」
「カラス君、お母さんみたい」
「・・・・・・・・・・・・」
(まぁ、勝手にテイクアウトした責任もあるし)
椅子に凭れて、黒猫さんを観察する事にした。