問題山積み
そこが、私は気に入ってしまった。

『…いいよ。場内指名、一人無料なんでしょ』

『やったあ!』


星羅は手を叩いて喜び、スタッフを呼んだ。
成る程、これで私は星羅を買ったことになる訳ね。


『そいじゃ、失礼しまーす』


星羅はそう言うと、背もたれのない丸椅子から立ち上がり、私の隣に座り直した。
きょとんとする私に、


『指名入ると、俺、隣に座れんの』


星羅はそう教えてくれた。
そこから先のことは今ひとつ覚えていない。
中身のない話をして、騒いで(星羅が一方的に)、帰る時には得も言えぬ満足感があった。
何が私をそうさせるのか分からない、でも、やけにすっきりした気持ち。
酔っているせい?
そうだとしたら、こんなにお酒が美味しいと感じたのはいつ振りだろう。
私は500円で星羅を買った。安い買い物だった。
次はきっと安くない。
安くないけど、また星羅に会いたい。
その日を境にまめにメールをくれる星羅に、また会いたい。
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