問題山積み
あとはこれ以上太らなければいいと思う。あわよくばもう少し痩せられたらラッキーかな。
今は微増でも太ることが怖い。


「そう思ってたんだけどね」


テーブルを挟んで向かい側、有村さんはぐびりと喉を鳴らしてビールを流し込んだ。
仕事後のビールは格別だと有村さんは言う。
私にはそれが分からず、ビールを買う時に有村さんが一緒に買ってくれた小さいパックの豆乳をちまちまと飲んでいた。
苺味のその豆乳は、なんだかジャンクな味がする。


「…あ、痩せたからかな?」


ふと思いついたかのように、有村さんがこっちを向いた。


「気付きました?」

「たった今気付いた。なんとなく何かが変わったなあって思っていたんだけどさ」


曖昧で単調な言い方は、有村さん特有のそれ。
そこに少しだけ甘えるのが、私のやり口。
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