問題山積み
さっきは虫歯で苦しんでいたというふうに説明したけど、最近の私の様子が変だということに、圭君は薄々気付いていたらしい。


「ハタチくらいの時って、妙に病むんだよなー」


相変わらず私のことを見透かしているような発言はちゃんちゃら可笑しいけれど、嫌悪感はなかった。


「圭君は、私が痩せてた方がいい?」


テレビは既に放送を終えようとしている。
ゆるやかな音楽が流れる画面から視線を反らさず、聞いてみた。


「痩せてるじゃんか」


その即答は、私が意図している質問と回答が若干ずれている。


「えーと、じゃあ、私が太っても平気?」


質問を変えられた圭君は、「うーん」と小さく唸って、口を開いた。


「亜樹だと認識できないくらい太ったら嫌だけど、それでもまあ、気にしないな」

「そこまで太る予定もないです」


お互いの冗談でお互いに笑い合う。
まさか圭君とこんなお酒の酌み交わしができるなんて、ちっとも想像できていなかったのに。


「美味そうに食ってる亜樹がいい」


圭君は、嬉しそうに目を細めて私の口にチョコレートを突っ込んだ。
新発売のそれは少し苦く、とろっと舌先で溶ける。
私、虫歯なんですが?
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