問題山積み
ハムスターなんて、みんな茶色とか白とかばっかりだと思っていた私には、この子の存在は目から鱗。
ハムスターなんて飼ったことがない。
店員に促されるまま、ケージと餌と必要なものを買った。
黄色のその子は、文庫本くらいの大きさの紙の箱に入れられてお会計。
全部で１万円ちょっと。
ペットショップを出た私が手にする紙袋の中から、かさかさと音がする。


「一緒に帰ろう」


私の衝動買いは決して珍しいことじゃないが、流石に生き物は今までなかったな。
実家にいる犬の姿が浮かぶ。
私が踏み出すたびにかさかさの音は激しくなって、５０メートルほど歩いたところで、私は目の前を走っていたタクシーを捕まえた。
このまま私のペースで歩き続けるのは、なんだか可哀相に思えたんだ。
タクシーが私の前に止まり、ドアが開くとすぐに「F駅まで」と運転手に告げた。
後部座席に乗り込み、大きな紙袋を膝の上に乗せる。
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