問題山積み



『エリカちゃん、写真指名入りました。90分でオプションはコスプレ、セーラー服でーす』


うーん、オプションがコスプレだけは痛い。
可能な限り、オプションをつけてくれた方が稼げるから。
しかもコスプレは無料のオプション。私へのバックはない。


「有難うございます、了解です」


それでも仕事があるだけいいか。
せちがらいこのご時世、風俗業界だってシビア。
お茶を引くのだけは勘弁。
私は起き上がってグロスを塗り直し、髪を整え、鞄とコートを引っ掴んで個室を後にした。














ホテルにいたのは、特徴の全くない40代くらいの小肥り中年。
良かった、比較的清潔そうな人で。


「初めまして、エリカでーす!」


挨拶はなるべく明るく可愛らしく。
たかだか90分しか顔を合わせないのだから、僅かな仕種でもいい印象を植え付けないと。


「初めましてぇ。写真よりずっと可愛いねぇ」


ねちっこい話し方。でも、嫌悪感を抱く程じゃない。
それに、褒められることは純粋に嬉しい。


「有難うございますぅ。実物見て『詐欺だ!』なんて思いませんでした?」
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