問題山積み
私の気持ちなんて全く無視。


「それ、さっさと問い詰めればいいじゃん」


同期の亜子(あこ)が、コンビニのしゃけおにぎりをかじりながら淡々と言った。


「だけど、そしたら携帯見てるってバレちゃう」

「そりゃ当然そうなるでしょ。でも、それが怖いから浮気を止めないの?」


私が頷くと、亜子は盛大な溜め息をついた。


「あのね、薫(かおる)。それって浮気を黙認してるってことだよ?」


きつい口調に、私は怯んでお弁当の卵焼きを地べたに落とした。
亜子のお説教はいつものことなのに、どうしたって慣れない。
遊晴とお揃いのお弁当。遊晴に作ってあげるついでに、自分のも作ったんだ。
卵焼きにウィンナー、唐揚げ、ブロッコリー、それと昆布のお握り。
中身だけじゃない、お弁当箱だってお揃い。
本当は料理なんて苦手だけど(実家暮らしだと、料理なんてしなくてもお母さんが用意してくれるし)、遊晴に少しでも「可愛い彼女」って思われたいから。
甘く焼いた卵焼きが、アスファルトの上で砂まみれ。
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