問題山積み
それもソファにぽい。
どうせ会社の人だか友達だかと買い物に行った先で衝動買いしたんだ。簡単にその様子が目に浮かぶ。
お姉ちゃんには個性がない。
…ううん、「個」がない。
好きなものも、行きたい場所も、食べたいものも、着たいものも、「一人じゃ無理」という理由だけで諦めてしまう。
私はそんなの真っ平御免だ。
お姉ちゃんの化粧品をソファにどかすと、私は台所に行き、インスタントのコーヒーを煎れた。
私には安い粉末コーヒーが口に合うのに、お姉ちゃんはわざわざお高いコーヒーを会社の近くの輸入食材屋で買う。
亮君が、その銘柄が好きだから。
こんなにお姉ちゃんと性格が違えど、貧乏な我が家で育ったというのは同じなんだから、お姉ちゃんだってこんないいものが口に合う訳ないのに。
昨日のことを思い出しながら、ソファに戻り、テレビをつけた。
昼前のこの時間のテレビ番組は、主婦層向けであまり面白くない。
そんなことくらい分かっていた。
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