問題山積み



「梓、今日どこにも行ってないの?パジャマのままじゃん」


ちらりとお姉ちゃんに目をやると、お姉ちゃんが目を丸くしていた。
今日初めて見かけたお姉ちゃんは、やっぱり「後輩OL」の格好で、いつもと何も変わらない。


「そうだよ」

「ふうん…」


昨日の誘いを断った手前、なんとなく気まずい。
私とお姉ちゃんの会話は、続きそうにない。
そんな空気はお姉ちゃんにも伝わったのか、お姉ちゃんはテレビに視線を戻した私の前に、


「…これ、後で一緒に食べよう」


小さな白い箱を差し出してきた。


「なに?これ」


お姉ちゃんを見上げると、お姉ちゃんは少しだけ困ったような表情をしている。


「昨日言ってたカフェのケーキ。会社帰りに、先輩と買いに行ったの」


なんだ、結局は誰かと行ったんじゃん。
そりゃあお姉ちゃんだもん、一人で行く訳ないよね。
それでもケーキに罪はないから、これはこれで有り難く受け取っておくことにする。
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