問題山積み
私もそのうちの一人なので、大きな口は叩けません。


「別に何にもしてない。寝てた」

『いいですねえ、学生さんは』

「圭君こそ、こんな昼間っから電話なんかしていいわけ?仕事は?」

『営業で外に出てるもんでね』

「へえー」


電話の向こうでへらりと笑っている圭君。
壁の時計は10時半を指している。
圭君は生命保険の会社に勤務していて、会社内にいる時間より外にいる時間が長いんだとて言っていた。
しかしまあ、こんな時間から私に電話していて、仕事って成り立つんだろうか。
学生の私にはさっぱり理解できない。


『でさ、亜樹。今夜暇じゃない?』

「暇じゃない」


即座に否定。
本当は暇なのに嘘をつくのは、圭君の言葉の先、圭君の思考がすぐに分かったから。


『嘘つけ、暇だろ』


それなのに、けらけらと笑って私のガードを崩すのが圭君。
癪だなあ。時と場合によっては嫌いじゃないけど。
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