問題山積み
私は3人の様子を傍観しながら、ビールを一口ずつ口に含んでいた。
ジョッキのビールを飲むペースは難しい。
注ぎたてのそれを美味しい状態で一気に飲んでしまったら、すぐに口寂しくなるし、かと言ってちんたら飲んでいたら温くなってまずくなる一方。
乾杯は年上の方々に合わせてビールにしたが、2杯目はウーロンハイにしよう。
あれならゆっくり飲んで氷で薄まっても、そこまで味は劣化しない。
頭の中は、常にカロリー計算。
目の前の唐揚げも、一つだけ自分の取り皿に取って、あとはサラダを多めに頂戴する。


「僕の悪い性分なんだよね。優柔不断にさせちゃう」

「自覚あるんじゃないですかっ」


村田さんの鋭い突っ込みに、私と有村さんが笑った。
何だかんだで憎めないのだ、新倉さんのことを。


「まあまあ。明日は俺と村田さんはシフト入ってないし、亜樹ちゃんも学校休みだって言うし、今日はパーッとやりましょ」


そう言って有村さんは店員さんを呼び、「生ひとつ」と新倉さんのビールをオーダーした。
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