問題山積み


「へいきー…」


私の肩に捕まりながらやっと二足歩行を可能とする村田さんを、女子トイレに入れてあげる。
およそ「平気」とは思えませんって。


「吐けば復活するから、このくらい」


そう言い捨て、村田さんはがちゃんと鍵をかけた。
私はトイレから離れ、壁にもたれて村田さんを待つ。
そう言えば、村田さんもよく飲んでいる癖に痩せ型だっけ。
3度の飯よりビールが好き、それが村田さんだ。
ビールなんて、「ビール腹」という言葉があるくらいだもん、太りそうなものなのに。
皆、どうやってそのか細い身体をキープしているんだろう。
俯くと、自分の脚が視界に入る。
あと少し、あと少しだけでいいから、足首がきゅっと締まってふくらはぎが細くなればいいのに。
でも、今日はビールの他にはウーロンハイ2杯とご飯ちょっとしか食べていない。
明日の朝は嫌な思いをしなくていいはず。
好きなものを満足に食べることができない哀しみより、太ることの恐怖の方が遥かに上回る。
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