問題山積み
気恥ずかしいやら何やら、でも、他のホストもお客さんも私達に見向きもしない。
お客さんは私を含め、5組ほど。
それぞれが、自分のテーブルについたホストに夢中のようだった。
口に含めば、かなりアルコールが濃いはずなのに、ちっともそれを感じない。


『結衣は、こういうお店初めてなんだよね?』

『うん、来たことない』

『それじゃ、システム説明すんね!』


流暢に説明される料金のことや指名のこと。
私はそれをふんふんと聞き流す。


『…ってな訳で!結衣、俺に場内指名入れて』


語尾にハートマークがつきそうな甘い声で、星羅はいきなりそんなことをねだってきた。


『早速!?』

『早速!この店で結衣を一番誰より楽しませられるの、俺しかいないもん』


呆気に取られた。
星羅のその自信は、どこから来るのか。
根拠のないそれが、何だか私は無性に羨ましくなった。
これが若さなのか。
裏表の無い営業スタイル。なんて奴だ。
だけど、指名しろと言う割に、押し付けがましい感じはない。
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