問題山積み
でも、きっと今圭君が居るのは会社じゃない。


「仕事は?」

『お前はいっつも俺の仕事ばかり気にするんだな!』

つんざく圭君の大笑いが、今は何故かほっとする。


「だって、社会人なんてもっと寝る暇もないくらい働くものだと思っていたし…」

『働いていていますよ?俺、こう見えても営業成績は上位なんだぜ?』


圭君が言っていることは嘘ではないのかもしれない。
一端のサラリーマンの癖に、やたらと羽振りがいい。
生命保険の会社がどれだけ儲かっているのかは分からないけれど、圭君の財布もネックレスも鞄も、なんだか高そうなんだもん。
つまり、その分お給料貰っているってことだよね。


「圭君、話が上手いから営業とか上手そうだもんね」

『な、そうだろ?』


遠く離れたどこかで、圭君が得意げな顔をしているのが手に取るように分かる。
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