とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
『やぁ、クロウ。そろそろ電話が来る頃だと思ってたよ。』
先にそう言われて思わず『やっぱりお前か』と溜め息を着いた。
『いったいどういう事だ?』
『先手を打とうと思ってね』
『先手?』
『クロウは卒業後、どうするつもりなんだい?』
『どうって…とりあえず帰国するよ。』
『だろう?だからさ。』
まるで右京が何と言うか知っていたかのような言い方だった。
…いや、アランの事だからそんな事知っていたのかもしれない。
この男の勘は超人並みに鋭い。
『君を失うのは“P2”としても、俺個人としても痛手だ。』
そこでアランは奥の手を使ったのだ。
『・・・って事は・・・もしかして英国軍の大佐って・・・』
『俺の父親だよ?』
思わず絶句する右京をアランはクスクスと笑った。