とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
忙しいと言っても連れて行くなら、何故暇かどうかを聞くのだろうか…?
「…意味わかんねぇし…」
思わず日本語でそう呟いた右京を見てニックが笑った。
『行って来いよ。そうやってバカンスに行けるのも今だけだろ?』
確かに仕事が始まれば暫くは日本での生活になる。
『あの怪現象もピタッと止まったしさ。』
『あぁ…なんか不自然だけどな…』
それにあの晩見た暗闇に居た視線の主が気になる。
それは右京が以前一度だけ見た事がある悪魔だった。
見間違えでなければだが…。
神妙な表情の右京を見て、レモネードを持って来たバージが『大丈夫ですよ』と微笑んだ。
『ハニエル様にも確認して頂いてますし、何か解れば直ぐに報告しますから。』
『…お前はホントいい子だな!!』
右京にグリグリと撫でられたバージは嬉しそうに頬を染めた。