とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
電話を切って机に突っ伏す右京をミルクティーを持ってきたバジリスクが心配そうに覗き込んだ。
『大丈夫ですか、マスター?』
『ダメ・・・重圧に押しつぶされそう・・・』
そう呟くとバジリスクは右京とその上の空間を見て首を捻っていた。
色んなことが頭の中をぐるぐると渦巻く。
右京はブンブンを頭を振って雑念を振り払うと、軽く頬を叩いて論文を再開させた。
どのくらい経っただろうか。
気が付くと窓の外はすっかり暗くなっていた。
玄関の扉が開いて我が家のように入ってきたニックが右京に『よぉ』と手を挙げた。
このアパートは元々ニックの仕事用に使っていた部屋なだけに、そんな事も日常茶飯事である。
『卒論進んでるか?』
右京は伸びをして『まぁね』と言ってから思い出したようにバックを探り始めた。
そしてやっと見つけたそれをニックに手渡す。
『・・・なんだ、これは?』
『大学の友達が偶然撮ったらしい。』
それはマイクから借りた写真だった。